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巻頭特集サッカー部 初優勝 関西チャンピオンの栄光をつかんだ!!

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次なるステージ総理大臣杯へ 全国制覇なるか!!

次は全国制覇だ―。第48回関西学生サッカー選手権大会決勝が6月30日、大阪府吹田市の万博記念競技場で行われ、本学のサッカー部(男子)が関西大学に3対2で勝利し、創部以来初となる関西チャンピオンの栄光をつかみとった。8月末から開催される総理大臣杯で、悲願の日本一の座を目指す。

びわこブルーの応援団が大きく揺れた

キャプテン井上、チームをけん引 「勝って大学の歴史を塗り替えたい」
そう意気込んで決勝のピッチに立ったキャプテンの井上直輝(4年次生)が、開始早々プレーでチームを引っ張った。
前半11分、ツートップを組む青山景昌(4年次生)が放ったシュートを関西大のキーパーがはじいたところをつめ、左足で先制ゴールを決めたのだ。勢いに乗ったびわスポ大は藤松航矢(2年次生)と森昴大(2年次生)のセンターバックコンビがディフェンスラインをうまくコントロールしながら、組織的な守備で関西大の個人技を封じていく。
だが、9度目の優勝を狙う伝統校はやはり手ごわかった。
前半37分に同点に追いつかれると、試合は一進一退の攻防に。後半7分に青山が右足で蹴りこんで再びリードするが、後半23分にまたも同点に追いつかれてしまう。 その後も関西大に決定的な場面を何度か作られたが、こうした絶体絶命のピンチを耐え続ける展開は、今季のチームを成長させてきた要因でもある。

“びわこスタイル”の確立 「4年次生中心のチームで、タレントという意味では、関西リーグを初制覇した2年前のチームよりも高いレベルの選手がそろっている」(石間寛人コーチ)という今季のチームだが、決して順風満帆なスタートを切ったわけではない。
前期リーグの開幕前、関西大とのプレシーズンマッチでは0対6と惨敗。北村裕貴スカウト担当が「ここ数年であんな試合は見たことがない。なにをやってもうまくいかない」と振り返る状態でリーグ戦の開幕を迎えたが、チームは粘り強い守備とカウンター攻撃で紙一重の勝負を制しながら今季の〝びわこスタイル〟を確立していく。リーグ戦首位を走る大体大と、関西大には苦杯をなめたものの、2位で前期リーグを終えた。

監督不在の中発揮された「主体性」 今大会も準々決勝で大阪学院大を延長戦の末1対0、準決勝の大体大戦は延長戦でも決着がつかず、PK戦にもつれこんだ末に勝利をつかんだ。
そして彼らには、もう一つの試練があった。
チームを率いる望月聡監督が、ユニバーシアード女子日本代表監督としてイタリアに遠征中のために準決勝から不在だったのだ。
まさに望月監督が提唱する「主体性」を大舞台で試されることになったが、ボランチの忽那喬司(4年次生)が「監督からいつも自分で考えてプレーするように言われてきたので、不安はなかった」と振り返るように、びわスポ大はこの日も窮地に追い込まれながら、一人ひとりの選手がやるべきプレーを実践し、関大の猛攻をしのぎ続けた。

1年次生 泉、殊勲の決勝ゴール 歓喜のドラマが生まれたのは、びわスポ大にとって3試合連続となる延長戦にもつれこむムードがスタンドを支配した後半45分である。
「途中出場だったので、自分にできることは何かを考えてプレーしました。声を出すことや走ることを意識していた」という上月翔聖(2年次生)があげたクロスボールに対し、同じく途中出場の泉柊椰(1年次生)が頭であわせ、殊勲の決勝ゴールを決めたのだ。
わずかなアディショナルタイムも守り切り、試合終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間、スタンドにつめかけたびわこブルーの応援団が大きく揺れた。
監督代行を務めた石間コーチは「誰が出場しても戦力を落とさずに戦えるチームであることを証明できた。楽な試合はありませんでしたが、選手たちはこの経験を通じてさらに成長してくれたと思います」。
決勝点を決めた泉は「ボールを持ったら常に仕かけていく意識があったから、決勝点につながったと思います」と初々しい表情でコメント。再三のスーパーセーブでチームを救ったゴールキーパーの田中勘太(4年次生)は「粘り強い守備を見せることができたが、全国では通用しない。残りの一か月でしっかりと準備をして改善していきたい」と、次なる舞台に思いをはせた。
歓喜の輪の中で優勝トロフィーを掲げたキャプテンの井上は、不思議な感覚に包まれていたという。
「トロフィーを持った時に、なぜか軽く感じたんです。やはり、全国の頂点に立ったときでないと、楽しさが足りない。本当の意味での達成感は得られないんだと思いました」

傲慢になることなく、次なる舞台に思いをはせる

課題克服も楽しみ、次なる総理大臣杯へ 3年ぶり3度目の出場となる総理大臣杯。初戦は9月1日、堺S5フィールドで鹿屋体育大(九州2位)と四国学院大(四国2位)の勝者と戦う。
ユニバーシアードで日本の女子代表を前回大会と同じ準優勝に導いた望月監督は「選手たちが主体性をもってプレーしてくれたことが何よりもうれしい。関西で優勝したからといって傲慢にならず、総理大臣杯までの日々を課題克服のための充実した、楽しい時間にしてほしい」と、選手たちのさらなる奮起を期待している。
(檜山森哉・3年次生)